大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和25(あ)3478 決定

主 文

本件公訴を棄却する。

理 由

本件公訴事実は、被告人Aは

第一、昭和二四年七月五日午後九時項窃盗の目的で東京都中央区ab丁目c番地

B証券株式会社事務室において金品を物色中偶々所用のため同室を訪れたC(当二

一年)に発見されたので逮捕を免れ且つ罪跡を湮滅するために所携のナイフを以て

同人の顔面に斬り付け、よつて同人に全治まで約一週間を要する左上顔瞼部切創の

傷害を負わせ

第二、同年同月一一日午後一一時五〇分頃窃盗の目的で東京都中央区d町b丁目

e番地D工業株式会社に於て金品を物色中、同会社守衛E(当四〇年)に発見され

たので逮捕を免れ且罪跡を湮滅するために所携のナイフを以て同人の顔面に斬り付

け、よつて同人に全治まで約三週間を要する左顳?部刺創並左頬部打撲傷の傷害を

負わせたものである。

というのであるが、前記被告人の氏名AはFにおいて使用していた偽名であつて

本件被告人の氏名はFが真実であるところ同人が昭和二六年一二月一四日死亡した

ことは本件記録に綴られている。昭和二七年三月一〇日鑑発第三二九号国家地方警

察本部刑事部鑑識課長から最高検察庁公判事務課長宛の調査照会に対する回答、新

潟県北魚沼郡f町長G認証の死亡届謄本及び戸籍抄本並びに東京都中野区長H認証

の死亡届謄本及び寄留簿抄本の各記載によつてこれを認めることができる。

さすれば右被告人に対する本件公訴は棄却すべきものと認め刑訴四一四条、四〇

四条、三三九条一項三号に則り裁判官全員一致の意見によつて主文のとおり決定す

る。

昭和二七年四月四日

- 1 -

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!